キャリアコンサルタントになるには？資格の取得方法と必要要件
2025年11月10日
2025年11月27日
キャリアコンサルタントは、働く人のキャリア形成を支援する国家資格です。
企業の人事部門や人材開発部門での需要が高まるとともに、独立してキャリアコンサルティング事業を営む人も増えています。
本記事では、この資格の取得方法や要件について、実際のプロセスに基づいて解説します。
目次
キャリアコンサルタント資格とは
キャリアコンサルタントは、労働者のキャリア開発を支援することを目的とした国家資格です。企業内での配置転換やキャリア形成、あるいは転職希望者の進路相談など、実務的な場面で必要とされています。
資格の位置づけ
キャリアコンサルタント資格は「キャリアコンサルタント試験」に合格することで取得します。試験は厚生労働大臣指定の試験機関である日本キャリア開発協会（JCDA）と職業訓練協会（NOCC）が実施しており、どちらかに合格すれば資格取得となります。
資格取得後は登録制ではなく、試験合格時点で資格が付与されます。ただし、一定期間ごとに更新講習の受講が求められます。
資格取得の要件
キャリアコンサルタント試験を受験するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
| 受験資格 | 詳細 |
|---|---|
| ①実務経験 | 3年以上のキャリアに関する相談業務の経験 |
| ②養成講習修了 | 厚生労働大臣指定の養成講習を修了 |
| ③技能検定キャリアコンサルティング試験合格 | 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に一部合格した方 |
最も一般的なのは②の養成講習修了による受験です。多くの受験者が、この方法で資格取得を目指しています。
養成講習について
講習内容
厚生労働大臣指定の養成講習では、おおむね以下の科目を履修します。
- キャリアコンサルティングの理論と実践
- 職業実務知識
- 相談技法と実技演習
- 労働法や企業組織に関する知識
標準学習時間
養成講習の学習時間は150時間以上です。機関によって若干の差がありますが、通常は3～6ヶ月の期間で実施されます。
| 受講形式 | 特徴 |
|---|---|
| 通学型 | 固定スケジュールで講義と実技演習を受講。実技試験対策が充実 |
| オンライン型 | 自分のペースで進められるが、実技演習は別途実施 |
| ハイブリッド型 | 講義はオンライン、実技は対面という組み合わせ |
どの形式を選ぶかは、仕事や生活のスケジュールに応じて検討する必要があります。
費用
養成講習の受講料は機関によって異なりますが、30万円～45万円程度が一般的です。一部の講習機関では分割払いに対応しているケースもあります。
試験について
試験の構成
キャリアコンサルタント試験は、学科試験と実技試験の2つで構成されます。
| 試験形式 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 学科試験 | マークシート式、100問 | キャリア理論、職業実務知識、相談倫理などが出題 |
| 実技試験 | 面接・論述式 | クライアント役との相談を通じた対応力と記述説明能力を評価 |
合格基準
学科試験と実技試験の両方に合格することで、資格取得となります。学科試験と実技試験は別日程で実施されるため、複数回の受験機会があります。
試験の難易度
難易度については、適切な準備を行えば対応可能な水準です。養成講習を修了した受験者の多くが試験に合格しており、講習内容の学習と試験対策を着実に進めることが重要です。
学習に必要な時間
養成講習の150時間に加えて、試験対策に追加で時間が必要です。実際の合格者の事例から、以下のような時間配分が参考になります。
- 養成講習：150時間（3～6ヶ月）
- 試験対策（学科）：30～50時間
- 試験対策（実技）：30～50時間
合計では200～240時間程度が目安となります。
働きながらの学習パターン
仕事と学習の両立を検討する際、講習機関の提供形式によって複数の選択肢があります。以下は講習形式の一般的な例です。実際のスケジュールや時間については、受講予定の講習機関に確認することが重要です。
平日夜間・通学型の場合
夜間講座を週数回受講し、休日に実技演習を行うパターン
休日集中型の場合
土曜日や日曜日に講座を集中させ、平日は自習で対応するパターン
オンライン活用型の場合
講義をオンラインで自分のペースで進め、実技は指定日に対面で受講するパターン
どの形式が自身のスケジュールに適しているかは、現在の仕事の状況や家庭環境によって異なります。複数の講習機関を比較し、具体的なカリキュラムと時間割を確認した上で判断することをお勧めします。
キャリアコンサルタント資格をおすすめする理由
実務的なスキルが身につく
養成講習を通じて学ぶ内容は、即座に仕事に活かせるものばかりです。相談技法や傾聴スキルは、人事部門や管理職としての業務において、実務的な価値があります。現在の職務でより良いパフォーマンスを発揮する手段になります。
キャリアの選択肢が広がる
資格取得後のキャリアパスとしては、企業内での配置や昇進、人材開発業務への異動、あるいは独立してコンサルティング事業を営むなど、複数の選択肢が存在します。現在の職場に留まる場合でも、キャリア形成を支援する部門での活躍の可能性が高まります。
社会貢献性が高い
働く人のキャリア形成を支援することは、個人の人生設計に直結した重要な役割です。組織内での人事評価や配置の最適化を通じて、企業全体の生産性向上にも貢献できます。仕事に対する意義や充実感を求める人にとって、価値のある資格です。
業界での需要が継続している
人材育成やキャリア形成への関心は、企業においても高まり続けています。正規の国家資格であることも、社会的認知度を高める要因となっており、資格を有することで職場での信頼性が向上する傾向があります。
取得後の活用方法
資格取得後は、以下のような形での活用が一般的です。
- 企業内のキャリアコンサルタントとしての配置
- 人材開発部門での講座企画・運営
- 転職支援機関やハローワークでの相談業務
- 独立して個人コンサルティング事業を展開
どの形態を選ぶかは、個人のキャリア目標と現在の状況によって判断されます。
まとめ
キャリアコンサルタント資格の取得プロセスは明確に整備されており、適切な養成講習を受けることで、試験合格は十分に現実的です。必要な時間や費用をあらかじめ把握した上で、自身のキャリア目標と照らし合わせて検討することが大切です。
資格取得を通じて得られるスキルと知識は、長期的なキャリア形成において有意義な投資になる可能性があります。ご自身のキャリア目標に照らし合わせて、具体的に検討されることをお勧めします。