Z世代社員が求めるキャリア支援の形
2026年02月02日
2026年02月06日
「もう転職を考えています」「管理職になるつもりはありません」──入社してまもなくないZ世代の社員からこうした発言を聞いて、対応に戸惑うキャリア支援の担当者様は少なくないのではないでしょうか。
本記事では、Z世代のキャリア観に何が起きているのかを整理し、その課題に対応するためにキャリアコンサルタントがどのような役割を果たせるかについて考えていきます。
Z世代のキャリア観:何がどう変わっているのか
Z世代(おおむね1996年〜2010年生まれ)は、生まれた時点でスマートフォンやSNSが身近にある環境で育った世代です。情報の収集や比較、意思決定にも、デジタルを中心としたプロセスが自然と身についています。
このような環境の中で育んだ価値観は、キャリアに対する考え方にも大きく影響しています。
| キャリア観の傾向 | 現れ方 |
|---|---|
| キャリア自律志向が強い | キャリア設計を「会社に任せる」のではなく、自分で選びたいという意識が強い |
| 「タイパ」「コスパ」を重視 | 限られた時間で効率よく成果を得ることを優先し、無駄を嫌う |
| 「安定」の意味が変わっている | 終身雇用への依存よりも、どの職場でも通用する能力(エンプロイアビリティ)を重視する |
| プライベートを優先にしがち | 仕事よりも自分や家族の時間を大切にしたい傾向が強い |
Z世代のキャリア課題:企業側がつまずく4つのポイント
上記のような価値観を持つZ世代には、企業側がこれまで対応に苦労しやすい課題がいくつか見えています。
① 早期転職への傾向
Z世代の転職傾向は近年増加傾向にあり、入社してまもなくの段階で「転職を検討している」という社員も見られます。SNSで他者の働き方や転職体験談に触れやすい環境が、行動へのハードルを下げる一因とされています。
② 管理職への消極的な姿勢
「昇進したくない」という考え方が見られる背景には、「責任が重くなる」「プライベートの時間が減る」といった、管理職に対するイメージが大きく影響しています。
③ 長期的なキャリア設計が難しい
変化の激しい時代に育った世代にとって、5年・10年先のキャリアビジョンを描くことは難しい点があります。短期的な目標には動けるが、長期的な方向性は曖昧のままになりやすい。
④ 対面コミュニケーションに慣れていない
オンライン中心の環境に育った世代にとって、対面での深い相談や本音の共有には時間がかかることがあります。
なぜ、これまでの施策では届かないのか
企業側がこれまで取り組んできた支援には、以下のような限界があります。
- 研修や資料の提供は知識の共有には有効ですが、「自分事」にする手助けにはなりにくい
- 1on1やメンター制度は上司側の視点が反映されやすく、社員が本音を語れる場にはなりにくい
- キャリアパスの提示は企業の都合を優先しがちで、社員の「やりたいこと」との対話が薄くなりがち
つまり、Z世代への支援には「社員側の自己理解を促す」視点と「企業側の組織ニーズとの橋渡し」を同時に行える仕組みが求められています。
キャリアコンサルタントが果たせる役割
キャリアコンサルタントとは、厚生労働省が定義する国家資格の「キャリア形成支援の専門家」です。その役割の中心は、単なるアドバイスではなく、相談者が自らで考え・決める力を引き出すことです。
先述した課題の各場面で、キャリアコンサルタントが対応できる視点は以下の通りです。
| Z世代のキャリア課題 | キャリアコンサルタントが対応できる視点 |
|---|---|
| キャリアの方向性が見つからない | 自己理解を促す面談を通じ、強みや価値観を言語化する |
| 研修に参加するが「自分事」にならない | キャリア研修のファシリテーションで、「自分のこと」として考える場を設計する |
| 1on1で本音が出ない | 上司とは異なる「第三者」として、社員の本音を受け止める場を提供する |
| 短期的には動けるが長期的には迷っている | 段階的な目標設定を通じ、長期的な方向性を緩やかに整える |
| オンライン中心で対面に慣れていない | オンライン・対面の両方で対応可能な柔軟な支援を行う |
厚生労働省も企業内でのキャリアコンサルタントの活用を推進しており、「セルフ・キャリアドック」という総合的なキャリア支援の仕組みの中で、キャリアコンサルタントによる面談やキャリア研修の実施が期待されています。
さらに、キャリアコンサルタントは個人への支援だけでなく、企業の人事評価制度や社内キャリア制度の見直しを組織に提案する役割も担います。
まとめ
Z世代社員のキャリア支援には、「社員が自らで考え・納得できる場」があることが鍵になっています。キャリアコンサルタントは、「自己理解の促進」と「組織との対話の促進」を同時に担えるプロフェッショナルとして、その仕組みの中で機能できる存在です。
キャリア支援の取り組みに深さを加えたい場合には、キャリアコンサルタントの活用はひとつの有効な選択肢になるかもしれません。まず「キャリアコンサルタントとは何か」について理解を深めることから始めていただければと思います。
監修者:CMCA理事長須藤和之
複雑化している社会において、キャリアコンサルタントとして、一人ひとりの生き方としてのキャリアに寄り添い、相談者が自分で納得できる答えにたどり着くまで伴走します。 今のままでいいのか迷う気持ちにも丁寧に向き合い、前向きに歩み出すきっかけづくりを支援しています。