キャリアコンサルタントの専門性を広げる|社会福祉士との組み合わせ
2025年12月19日
「キャリアコンサルタント」と「社会福祉士」という2つの国家資格について、どのような違いがあるのか、それぞれどのような専門性を持つのか、関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、両資格の特徴と専門領域、そしてダブルライセンスによるキャリア支援の可能性についてお伝えします。
目次
キャリアコンサルタントと社会福祉士|異なる専門領域を持つ国家資格
両資格は、それぞれ確立された専門領域を持つ国家資格です。どちらが優れているということではなく、支援のアプローチと対象が異なります。
それぞれの資格が持つ専門性
| 項目 | キャリアコンサルタント | 社会福祉士 |
|---|---|---|
| 資格の性質 | 名称独占資格(国家資格) | 名称独占資格(国家資格) |
| 専門領域 | キャリア開発・職業選択・能力開発 | 福祉サービス・生活支援 |
| 主な支援内容 | 就職・転職・キャリア形成に関する相談支援 | 生活上の課題に関する相談・福祉サービスの調整 |
| 活躍フィールド | 企業・ハローワーク・大学・人材会社・独立開業など | 福祉施設・医療機関・行政・地域包括支援センターなど |
キャリアコンサルタントの専門性
キャリアコンサルタントは、働くこと・キャリア形成に特化した専門家です。企業の人事部門、教育機関、公共職業安定所、人材サービス企業など、幅広い場面で専門性を発揮しています。
キャリアコンサルタントの専門領域
- キャリア理論に基づいた体系的なアセスメント
- 個人の価値観・興味・能力の整理と可視化
- 労働市場動向を踏まえたキャリアプランニング
- 職業選択・転職・キャリアチェンジの意思決定支援
- 企業内でのキャリア開発支援
社会福祉士の専門性
社会福祉士は、生活全般の課題に対する包括的支援の専門家です。高齢者、障がい者、児童、生活困窮者など、福祉的支援を必要とする方々を対象に、専門的な相談援助を行います。
社会福祉士の専門領域
- 生活課題の発見とアセスメント
- 福祉制度・サービスの活用支援
- 医療・介護・行政機関との連携調整
- 権利擁護・成年後見制度の活用
- 地域福祉の推進
それぞれの資格が求められる場面
両資格は、異なる場面でその専門性が求められます。
キャリアコンサルタントが活躍する場面
キャリアコンサルタントは、「働くこと」に関するあらゆる場面で専門性を発揮します。
- 企業内:従業員のキャリア面談、キャリア研修、配置・異動の相談
- 教育機関:学生の就職支援、キャリア教育プログラムの実施
- 公共機関:ハローワークでの職業相談、ジョブカフェでの若年者支援
- 人材業界:転職支援、再就職支援、人材育成コンサルティング
- 独立開業:個人向けキャリアカウンセリング、企業向け研修
社会福祉士が活躍する場面
社会福祉士は、福祉的支援が必要な方々の生活を支える場面で専門性を発揮します。
- 高齢者施設:生活相談、介護サービスの調整
- 医療機関:退院支援、地域連携
- 障がい者支援施設:利擁護
- 行政機関:福祉事務所、児童相談所- 地域:地域包括支援センター、社会福祉協議会
2つの専門性が重なる領域
両資格の専門性が重なる領域もあります。それが就労支援の分野です。
就労支援における両資格の役割
障がい者雇用や生活困窮者の自立支援など、福祉分野においても「働くこと」を支援する場面があります。
この領域では、両方の視点を持つことで、より包括的な支援につながる可能性があります。
それぞれの強みを活かした支援
- 社会福祉士:生活基盤の安定、福祉サービスとの調整
- キャリアコンサルタント:職業適性の見極め、キャリアプランニング、企業とのマッチング
専門性を掛け合わせる意義
どちらか一方の資格だけでも専門家として十分な価値がありますが、両方の視点を持つことで、支援対象者に対してより細やかな支援を提供できる可能性が広がります。
キャリアコンサルタント資格の取得方法
キャリアコンサルタントを目指す場合、主に以下のルートがあります。
養成講習を受講するルート
最も標準的な方法が、厚生労働大臣が認定する養成講習を修了し、国家試験を受験するルートです。
養成講習の特徴
- 標準学習時間:150時間程度(養成機関により異なる)
- 受講期間:養成機関やコースにより異なる
- 理論と実践をバランスよく学べる体系的カリキュラム
- ロールプレイを通じた実践的なスキル習得
- 修了後は国家試験の受験資格を取得
養成講習で身につく専門スキル
養成講習では、キャリア支援の専門家として必要な知識とスキルを段階的に学びます。
- キャリア開発理論:スーパー、ホランド、シャインなど主要理論の理解
- 受講期間:養成機関やコースにより異なるカウンセリング技法:傾聴、質問技法、リフレーミングなどの実践スキルli>
- アセスメントツール:職業興味検査、キャリアシートの活用方法
- 労働市場の知識:雇用動向、職業情報、労働関係法規
- 倫理と守秘義務:専門職としての倫理観と責任
実技演習の充実
養成講習では、実技演習を通じて実践的なスキルを学ぶことができます。受講者同士でカウンセラー役・クライアント役を体験しながら、実際の相談場面で活用できる力を養います。
資格取得を検討される方へ
自分の目指す支援を明確に
資格取得を検討される際は、ご自身が目指す支援の形を明確にすることが大切です。
- どのような相談者を支援したいか
- どのような働き方を実現したいか
- どの専門領域を深めたいか
養成講習の選び方
養成講習は複数の機関が実施しています。各機関によって特徴が異なりますので、以下のような点を確認されると良いでしょう。
- 受講形態:通学・オンライン・通信など
- 開講スケジュール:平日・土日・夜間コースの有無
- サポート体制:質問対応の方法や補講制度など
- 修了後のサポート:試験対策や就職支援の内容
多くの養成機関では説明会や個別相談を実施していますので、まずは情報収集から始めてみることをおすすめします。
まとめ
キャリアコンサルタントは、「働くこと・キャリア形成」という明確な専門領域を持つ国家資格です。企業、教育機関、公共職業安定所など、様々な場面でその専門性が求められています。
社会福祉士は、福祉的支援を必要とする方々の生活全般を支える専門家として、医療・福祉の現場で不可欠な存在です。
両資格はそれぞれ独立した専門性を持ちながら、就労支援という領域では互いの強みを活かせる関係にあります。
ご自身のキャリアビジョンや目指す支援の形に応じて、どちらの専門性を身につけるか、あるいは両方の視点を持つかを選択されることが、より良い支援の実現につながります。
監修者:CMCA理事長須藤和之
複雑化している社会において、キャリアコンサルタントとして、一人ひとりの生き方としてのキャリアに寄り添い、相談者が自分で納得できる答えにたどり着くまで伴走します。 今のままでいいのか迷う気持ちにも丁寧に向き合い、前向きに歩み出すきっかけづくりを支援しています。