人事経験を活かすキャリアコンサルタント資格|役割の違いと取得メリット
2025年12月19日
2025年12月18日
人事部門で働く中で「キャリアコンサルタント」という資格を耳にする機会が増えていると思います。社内でキャリア面談を担当している方、採用や育成業務に携わる方の中には、「人事業務とキャリアコンサルタントは何が違うのか」「資格を取得する意味はあるのか」と疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、人事とキャリアコンサルタントの役割の違い、人事経験者が資格を取得するメリット、そして実務への活かし方について解説します。
目次
人事とキャリアコンサルタントの役割の違い
人事業務とキャリアコンサルティングは、どちらも「人」を支援する重要な役割ですが、それぞれ異なる専門性を持っています。
それぞれの専門性
人事の専門性
人事部門は組織全体の人材戦略を担う専門職です。採用計画の立案、人材配置、評価制度の運用、研修の企画など、組織目標の達成に向けた人材マネジメントを行います。組織の成長と従業員の成長を結びつける、高度な専門性が求められる仕事です。
キャリアコンサルタントの専門性
キャリアコンサルタントは、個人のキャリア形成を支援する国家資格です。相談者の価値観、強み、課題を丁寧に聴き取り、その人らしいキャリアの実現をサポートします。カウンセリングの専門技法を用いた1対1の対話支援が主な役割です。
主な特徴の比較
| 項目 | 人事 | キャリアコンサルタント |
|---|---|---|
| 専門領域 | 組織の人材マネジメント | 個人のキャリア支援 |
| 主な強み | 制度設計・運用力 | 対話・傾聴の専門技法 |
| 業務範囲 | 採用、配置、評価、育成全般 | キャリア相談に特化、又はそれに付随した提言 |
| アプローチ | しくみで支える | 対話で支える |
両者は補完し合う関係
人事とキャリアコンサルタントは、どちらが優れているということではなく、異なる専門性で従業員を支える関係にあります。人事が制度やしくみを整え、キャリアコンサルタントが個別対話で支援する。この両輪があることで、より充実した従業員支援が実現します。
日常的にキャリア面談を行っている人事担当者の方は、すでに従業員支援の実践経験を積んでいます。その経験に専門的な技法が加わることで、支援の幅がさらに広がる可能性があります。
人事経験者がキャリアコンサルタント資格を取得するメリット
人事業務の経験がある方にとって、キャリアコンサルタント資格の取得は、これまでの経験に新たな専門性を加えることができます。
1. 対話の選択肢が増える
資格取得を通じて体系的なカウンセリングスキルを学ぶことで、面談での対応の引き出しが増えます。
- 傾聴の技法: 相手が本音を話しやすくなる聴き方
- 質問のバリエーション: 相談者自身が気づきを得られる問いかけ
- 理論的な視点: キャリア発達理論に基づいた多角的な理解
これまでの実践経験に理論と技法が加わることで、より多様な状況に対応できる可能性があります。
2. 人事経験との相乗効果
人事経験者は、組織の実情を理解した上で個人支援ができる立場にあります。
- 組織の人材ニーズを踏まえた現実的な提案
- 社内制度を活用したキャリアプラン設計
- 経営層と従業員双方の視点を持った支援
組織への理解と個人支援の技法、両方を持つことは企業内でキャリア支援を行う上で強みとなり得ます。
3. 国家資格としての位置づけ
キャリアコンサルタントは国家資格であり、専門家としての立場を示すものです。
- キャリア支援の専門性を明示できる
- 社内でキャリア支援施策を提案する際の根拠となる
- 従業員が相談しやすい環境づくりにつながる場合もある
4. キャリアの選択肢
資格取得により、人事としてのキャリアに新たな選択肢が加わります。
- 社内でキャリア支援の専門性を持つ人材としての活躍
- キャリア支援領域での活躍機会
- 将来的な独立や複業という選択肢
人事経験を活かした働き方の例
資格取得後、人事経験をどのように活かせるのか、いくつかの例をご紹介します。
企業内キャリアコンサルタント
企業によっては、社内にキャリアコンサルタントを配置するケースがあります。人事経験者は組織の仕組みを理解しているため、制度と個人支援を結びつけやすい場合があります。
業務の例
- キャリア面談の実施
- キャリア研修の企画・運営
- 管理職向けキャリア支援研修
人事業務での活用
人事業務を続けながら、学んだ技法を日常業務に取り入れることもできます。
- 採用面接での応募者理解
- 配置面談での本人の意向把握
- 育成面談での対話
キャリア支援施策の企画・推進
人事経験と専門資格を組み合わせることで、組織に新しい価値を生み出せる場合もあります。
- 社内キャリア相談窓口の立ち上げ
- キャリア自律支援制度の設計・運用
- 経営層への人材育成施策の提案
キャリアコンサルタント資格取得への道
資格に興味を持った方のために、取得方法を簡単にご紹介します。
受験資格
キャリアコンサルタント試験を受験するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 厚生労働大臣認定の養成講習を修了する
- 実務経験が3年以上ある
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格している
最も一般的なルートは、養成講習の受講です。
養成講習について
養成講習では、キャリアコンサルティングに必要な知識とスキルを体系的に学びます。
学習内容の例
- キャリアに関する理論
- カウンセリングの基本技法
- 労働市場や労働法令の知識
- 実践的なロールプレイング
多くの講習機関が通学・オンライン・ブレンド型など、働きながら受講できるコースを用意しています。
人事経験が活きる場面
人事経験がある方は、養成講習の受講においても経験を活かせる場面があります。
- 組織や人事制度についての理解
- 従業員と関わってきた実践経験
- 職務経歴書やキャリアの見方への慣れ
- 労働関連の法令知識
まとめ
人事業務とキャリアコンサルティングは、どちらも「人」を支援する大切な専門職です。人事として従業員と向き合ってきた経験は、それ自体が貴重な財産であり、キャリアコンサルタント資格はその経験をさらに活かすための選択肢の一つです。
資格取得は、これまでの経験を否定するものではなく、新たな視点や技法を加えるものです。人事として培ってきた実践知と、カウンセリングの専門技法が組み合わさることで、支援の幅が広がる可能性があります。
自身のキャリアをより深く掘り下げることはもちろん、従業員一人ひとりのキャリアにより深く寄り添いたい、対話の選択肢を増やしたいと考える人事担当者の方にとって、キャリアコンサルタント資格は可能性を広げる一つの道です。まずは養成講習の説明会などに参加して、具体的な情報を集めてみることをおすすめします。
監修者:CMCA理事長須藤和之
複雑化している社会において、キャリアコンサルタントとして、一人ひとりの生き方としてのキャリアに寄り添い、相談者が自分で納得できる答えにたどり着くまで伴走します。 今のままでいいのか迷う気持ちにも丁寧に向き合い、前向きに歩み出すきっかけづくりを支援しています。