キャリアコンサルタントの実技試験(面接・論述)で知っておくべきこと
2025年11月06日
キャリアコンサルタント資格試験は、学科試験と実技試験で構成されています。実技試験には面接と論述の2つの試験があり、それぞれが相談支援の異なる側面を評価します。
本記事では、実技試験全体の特性を理解した上で、特に論述試験の特性と学習のポイントについて解説します。
目次
実技試験について
キャリアコンサルタント試験の構成は以下の通りです。
| 試験科目 | 試験時間 | 出題形式 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 学科試験 | 100分 | 四肢択一(50問) | 100点満点中70点以上 |
| 実技試験(論述) | 50分 | 記述式 | 論述・面接試験の合計が満点の6割以上 |
| 実技試験(面接) | 20分 | ロールプレイ・口頭試問 | 同上 |
実技試験は面接と論述で構成され、両試験がそれぞれ6割以上の得点で合格となります。
面接試験では、ロールプレイと口頭試問を通じた実践的な相談スキルが問われ、論述試験では、与えられたケースに対して相談者のキャリア課題を分析し、支援方針を記述する形式です。
面接試験と論述試験の関係性
面接試験の特徴
面接試験は、試験官をクライアントに見立てた20分の試験です。ロールプレイでは、相談者役との相談を実践し、その後の口頭試問では、相談の振り返りや判断根拠について説明します。
評価される主な要素
- 相談者の話を受け止める傾聴姿勢
- 相談の進行をコントロールする力
- 相談者のニーズを適切に引き出す質問技法
- カウンセリング的な関わり
- 口頭試問での論理的な説明力
論述試験の特徴
論述試験では、提示された相談事例に対して、相談支援の方針を記述します。面接試験を補完する試験となり、見立てとコンサルティング、分析的思考力が必要となります。
評価される主な要素
- クライアントの課題を正確に把握し分析する力
- キャリア理論や相談技法を基に支援方針を構築する力
- 支援内容を論理的かつ具体的に表現する力
- 職業倫理に基づいた判断
両試験の補完
面接試験では20分という限られた時間の中でリアルタイムに対応する力、論述試験では50分で事例を深く分析し記述する力が求められます。
これらは相互に補完する関係にあり、両試験を通じて、キャリアコンサルタントとしての総合的な能力が評価されます。
面接試験・論述試験の合計が満点の6割以上を取得することが合格要件となっています。
論述試験の出題形式と特徴
出題の基本構成
論述試験では、クライアントの背景情報(経歴、課題、希望など)が提示されます。受験者はこの情報をもとに、以下の項目に対して記述します。
- クライアントの職業上の課題の把握:相談者が直面する問題の本質を分析
- キャリア支援の方針:どのようなアプローチで支援するか
- 具体的な支援内容:実践的な支援策や相談技法の活用
よくある出題内容の傾向
論述試験では、実務で起こりうる相談事例が提示されます。相談者の背景情報(経歴、現在の状況、課題、希望など)が文章で示され、それに基づいて分析と支援方針を記述します。
出題内容は、実際のキャリア相談場面を想定したものが多いため、相談者の状況を多角的に捉える必要があります。
論述対策で押さえておきたいポイント
1. キャリア理論の理解と活用
論述問題では、キャリア発達理論や適応理論など、基礎知識を背景にした分析が求められます。ただし、理論を知っているだけではなく、実際のケースにどう適用するかが重要です。
対策のポイント
- キャリア理論を学習する際は、理論の要点にとどめ、実務活用を意識する
- 理論と事例を組み合わせた講座資料を活用すると効率的
2. 相談技法の実践的活用
論述試験では、カウンセリング技法をどう活用するかも評価されます。傾聴、質問技法、整理・分析など、実技試験で求められる技法と共通する部分が多いです。
対策では、以下の順序が効果的です。
- 相談技法の基礎を定着させる(講習カリキュラムの範囲内)
- ケース分析に技法をあてはめる練習
- 論述での表現方法を定着させる
3. 職業倫理と実務の理解
相談者のプライバシー保護、利益相反の回避、守秘義務など、職業倫理はキャリアコンサルタントの基本です。
論述試験では、倫理的視点から支援方針を検討できるかが問われることもあります。
評価される主なポイント
- 相談者の課題を適切に把握し分析できている
- キャリア支援の方針が論理的に述べられている
- 支援内容が実践的で具体的である
- 記述が読みやすく、文法的に整っている
- 職業倫理を踏まえた対応ができている
これらのポイントは、養成講習で学ぶ内容と重なる部分が多く、講習で身につけた知識と技法を活用することで対応できます。
論述試験の位置付け
論述試験に特化した学習も重要ですが、同時に以下の点を認識しておくことが大切です。
- 実技試験全体としての評価:面接試験と論述試験は総合的に評価される。どちらかに極端に偏った対策は避けるべき
- 理論と実務の両立:学科試験で学んだ知識を、論述試験で実践的に活用する工夫
- 継続的な学習:試験合格後も、相談技法やキャリア理論の最新動向を学ぶ姿勢
まとめ
論述試験は、キャリアコンサルタントとしての実践的な思考力を確認する試験です。養成講習で学んだ知識や技法を、実際のケースにどう活用するかを記述する形式となっています。
養成講習での学習内容をしっかり理解していれば、論述試験は十分に対応可能です。重要なのは、試験合格を目的とするだけでなく、合格後にクライアントへより良い支援ができるよう、学習プロセスそのものを大切にすることです。