キャリアコンサルタントの試験内容|受験前に知るべき3つの試験科目

2025年11月05日

キャリアコンサルタントの試験内容|受験前に知るべき3つの試験科目

キャリアコンサルタントは、2016年に国家資格化された職業です。働く人々のキャリア形成を支援する専門家として、企業、教育機関、人材サービス業など幅広い分野で活躍しています。

本記事では、キャリアコンサルタント試験の具体的な内容について詳しく解説します。受験を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

キャリアコンサルタント試験の基本情報

試験実施機関

キャリアコンサルタント試験は、以下の2つの機関が実施しています。

  • 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)
  • 特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会(CC協議会)

両機関とも厚生労働大臣の登録を受けた試験機関であり、どちらで合格しても同じ国家資格「キャリアコンサルタント」として登録されます。

試験の構成

キャリアコンサルタント試験は、学科試験と実技試験の2つで構成されています。

試験科目 試験時間 出題形式 合格基準
学科試験 100分 四肢択一(50問) 100点満点中70点以上
実技試験(論述) 50分 記述式 満点の6割以上
実技試験(面接) 20分程度 ロールプレイ・口頭試問 満点の6割以上

※実技試験は論述と面接の両方で6割以上を取得する必要があります。

受験資格

キャリアコンサルタント試験を受験するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 厚生労働大臣が認定する養成講習の課程を修了した者
  • 労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力開発および向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者
  • 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格した者

実務経験がない場合は、養成講習(150時間以上)の受講が一般的なルートとなります。

学科試験の内容

出題範囲

学科試験は、キャリアコンサルタントとして必要な知識を問う試験です。出題範囲は厚生労働省が定める「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」に基づいています。

主な出題分野は以下の通りです。

1. キャリアコンサルティングの社会的意義

  • 社会・経済的な動向とキャリア形成支援の必要性
  • キャリアコンサルタントの役割と活動範囲

2. キャリアコンサルティングを行うために必要な知識

  • キャリアに関する理論(スーパー、シャイン、クランボルツ等)
  • カウンセリングに関する理論
  • 職業能力開発、リカレント教育の知識
  • 企業におけるキャリア形成支援
  • 労働市場、雇用に関する知識
  • 労働関係法令、社会保障制度の知識

3. キャリアコンサルティングを行うために必要なスキル

  • 基本的な技能(傾聴、質問、フィードバック等)
  • 相談過程において必要なスキル
  • アセスメントスキル

4. キャリアコンサルタントの倫理と行動

  • 倫理綱領、守秘義務
  • 自己研鑽とスーパービジョン

出題形式

50問すべてが四肢択一形式(4つの選択肢から1つを選ぶ)で出題されます。理論や法令に関する知識問題だけでなく、事例を読んで適切な対応を選ぶ問題も含まれます。

合格率

学科試験の合格率は、実施回により変動しますが、概ね50〜70%程度で推移しています。

実技試験(論述)の内容

試験概要

論述試験では、キャリアコンサルティングの場面を想定した事例が提示されます。その事例を読み、設問に対して記述式で解答します。

主な設問内容

論述試験で問われる内容は以下のようなものです。

  • 相談者の抱える問題やキャリア発達課題の把握
  • キャリアコンサルタントとして必要な見立て
  • 相談者との関係構築における留意点
  • 今後の支援方策や提案内容

評価のポイント

論述試験では、以下のような観点から評価されます。

  • 相談者の状況や問題を的確に把握できているか
  • キャリアコンサルティングの理論や知識を適切に活用できているか
  • 相談者の自己理解を促す視点があるか
  • 論理的で具体的な記述ができているか

試験時間は50分ですが、要点を押さえた記述を心がけることで十分に対応可能です。

実技試験(面接)の内容

試験の流れ

面接試験は、実際のキャリアコンサルティング場面を再現したロールプレイング形式で行われます。

1.ロールプレイング(15分)

  • あらかじめ相談者役は待機しています
  • 受験者はキャリアコンサルタント役として面談を実施します

2. 口頭試問(5分)

  • 面談での対応について質疑応答が行われます

JCDAとCC協議会の違い

2つの試験実施機関では、面接試験において若干の特徴の違いがあるとされています。ただし、いずれの機関でも基本的なカウンセリングスキル(傾聴力、質問力、共感的理解)と倫理観が評価の中心となります。

具体的な評価基準や出題傾向については、各試験実施機関が公表する受験要項や過去の試験情報をご確認ください。

評価の観点

実技面接試験では、主に以下の点が評価されます。

態度に関する評価

  • 適切な姿勢、視線、声のトーン
  • 受容的・共感的な態度
  • 相談者の話を遮らない傾聴姿勢

展開に関する評価

  • 相談者の話を引き出す質問力
  • 問題の本質を把握する力
  • 相談者の自己理解を促す働きかけ
  • 適切な情報提供や助言

自己評価

  • 自分の面談を客観的に振り返る力
  • 改善点を認識できているか

合格率

実技試験の合格率は概ね60%前後で推移しており、多くの受験者が合格されています。面接試験は実践的なスキルが問われるため、ロールプレイング等の準備を行うことが合格への近道となります。

試験難易度について

総合的合格率

学科試験と実技試験の両方に合格する必要がありますが、体系的に学習することで十分に合格を目指せる試験です。

また、学科試験と実技試験は別々に受験でき、合格した科目は次回以降に持ち越すことができます(合格した試験の免除期間は、合格した試験実施年度の翌々年度末まで)。この制度により、自分のペースで着実に資格取得を目指すことが可能です。

キャリアコンサルタント資格の意義

資格取得のメリット

キャリアコンサルタント資格を取得することで、以下のような可能性が広がります。

専門性の証明

  • 国家資格として、キャリア支援の専門性を客観的に証明できる
  • 企業や教育機関からの信頼を得やすくなる

活躍の場の拡大

  • 企業の人事部門でのキャリア面談担当
  • 大学や専門学校のキャリアセンター職員
  • ハローワークや地域若者サポートステーションの相談員
  • 人材紹介会社やキャリア支援企業
  • 独立開業してのキャリアコンサルティング業

継続的な成長

  • 5年ごとの更新講習を通じた継続的な学習
  • キャリアコンサルタント同士のネットワーク構築
  • より高度な資格(2級技能士等)へのステップアップ

社会的ニーズの高まり

働き方の多様化、人生100年時代の到来、リスキリングの重要性など、現代社会においてキャリア形成支援の重要性は年々高まっています。

企業においても、従業員のキャリア自律を支援する動きが加速しており、キャリアコンサルタントの専門性が求められる場面は今後さらに増えていくと考えられます。

まとめ

キャリアコンサルタント試験は、学科試験で知識を、実技試験で実践力を問う構成になっています。体系的に学習し、実技演習を重ねることで、着実に合格を目指すことができます。

実際に、様々なバックグラウンドを持つ多くの方が資格を取得され、各分野で活躍されています。

キャリアコンサルタントは、人々のキャリア形成を支援し、その人らしい働き方や生き方の実現をサポートする、社会的意義の高い仕事です。働く人々の多様なニーズに応えられる専門家として、今後ますます活躍の場が広がることが期待されています。

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