キャリアコンサルタントの今後の需要|市場の実態と可能性
2025年11月27日
2025年11月28日
キャリアコンサルタント資格の取得を検討する際、「本当に需要があるのか」「有資格者が増えて仕事が減っているのではないか」という疑問をお持ちの方は少なくありません。
本記事では、需要の実態をデータに基づいて解説します。
目次
キャリアコンサルタント登録者数の推移
キャリアコンサルタントが2016年に国家資格化されて以降、登録者数は着実に増加しています。2025年9月末時点での登録者数は約85,000人となっています。
この数字を見て「市場が飽和しているのでは」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、登録者数の増加と実際の需要は別の視点で捉える必要があります。
需要が生まれている主な領域
キャリアコンサルタントの需要を考える上で押さえておきたいのは、活動領域の広がりです。
実際に需要がある場
- 企業内でのキャリア支援:従業員のエンゲージメント向上や人材定着を目的とした社内キャリア面談の実施
- 教育機関での就職・キャリア支援:大学、専門学校におけるキャリア教育や学生相談
- 公的就労支援機関:ハローワーク、ジョブカフェ、若者サポートステーションでの相談業務
- 人材サービス業界:人材紹介会社や人材派遣会社でのキャリアカウンセリング
- 外部専門家としての契約:企業や団体と契約してキャリア研修や個別相談を提供
これらの領域では、専門性を持つキャリアコンサルタントへのニーズが継続的に存在しています。
実際の活動状況から見える可能性
登録者数約85,000人のうち、実際に活動している割合を見ると、約7割の方がキャリアコンサルティング業務に従事しています。
活動していない約3割の方は、本業との両立が難しい、実践機会を探している途中など、それぞれの事情があります。つまり、登録者全員が同じ市場で競合しているわけではなく、実際に継続的に活動している実践者の層で需要が分かれている状況です。
重要なのは、資格取得後にどのような領域で活動するかを明確にし、そこで経験を積み重ねていくことです。
活動の場を見つけるために
キャリアコンサルタントとして活動している方々の代表的なパターンをご紹介します。
既存の仕事に資格を活かす
人事部門、教育関連、人材業界などで既に働いている方が、資格を取得して専門性を高めるケースです。現在の職場での業務の幅が広がったり、社内での役割が明確になったりする効果があります。
公的機関での安定した雇用
ハローワークやジョブカフェなどの公的就労支援機関では、キャリアコンサルタント資格を持つ相談員の募集が定期的に行われています。安定した雇用形態での活動を希望する方に適した選択肢です。
特定分野での専門性発揮
自分の経験や関心を活かした得意分野を持つことで、その領域での相談や研修の依頼につながります。
- 特定の業界(IT、医療、製造など)でのキャリア経験を活かす
- 特定の対象者(女性、ミドル・シニア層、若年層など)への支援に特化
- 特定のテーマ(キャリアチェンジ、復職支援、起業支援など)で専門性を発揮
オンライン化による活動領域の拡大
近年、キャリアコンサルティングのオンライン化が進んでいます。この変化は、地域による制約を減らし、活動の可能性を広げています。
これまで対面が基本だったキャリア相談も、オンラインツールの活用により、場所を問わず提供できるようになりました。地方在住の方でも、全国の相談者に対応できる環境が整いつつあります。
地域による需要の違い
キャリアコンサルタントの活動を考える際、地域による需要の違いも気になるポイントです。
都市部では、企業数や教育機関が多いため、求人や契約の機会も比較的多い傾向があります。一方、地方では対面での求人は限られる場合がありますが、公的就労支援機関(ハローワークやジョブカフェ)での安定した雇用機会が存在します。
また、オンラインでの相談対応が広がったことで、地域による制約は以前より小さくなっています。地方在住でも全国の相談者に対応できる環境が整いつつあり、活動の選択肢は広がっています。
継続的に活動するために大切なこと
キャリアコンサルタントとして継続的に活動している方々に共通するポイントがあります。
実践経験を積み重ねる
資格取得後も、実際の相談経験を通じてスキルを磨き続けることが重要です。更新講習や事例検討会への参加、他の専門家とのネットワーク構築も、継続的な成長につながります。
既存の経験との組み合わせ
人事経験、営業経験、教育経験など、これまでのキャリアとキャリアコンサルタント資格を組み合わせることで、独自の強みを発揮できます。
自分に合った活動スタイルを見つける
企業内での専任、公的機関での勤務、外部契約での活動など、さまざまなスタイルがあります。自分のライフスタイルや目指すキャリアに合った形を選択することが、長く続けるポイントです。
まとめ:需要の本質を理解する
キャリアコンサルタントの需要は、単純な求人数だけでは測れません。企業内支援、教育機関、公的機関、人材業界、外部専門家としての契約など、多様な活動の場が存在しています。
登録者数が増加している一方で、実際に活動している約7割の方々は、それぞれの強みを活かした領域で専門性を発揮しています。また、オンライン化の進展により、活動の選択肢は広がり続けています。